研究概要 |
26Sプロテアソームの調節因子、19SRP、はユビキチン化蛋白質の分解に必須の役割を果している.これまで、我々は、19SRPのサブコンプレックスの一つ、リッド、の構成成分に関する温度感受性変異(rpn7およびrpn6)株を蒐集し、変異体が形成する26Sプロテアソーム関連複合体を解析してきた。その結果から、Rpn5、Rpn8、Rpn9、Rpn11の4種のポリペプチドがリッド形成の核になることを提唱した。今年の研究ではサブコンプレックスのコアの一つRpn5のリッド形成における働きについて調べた.温度感受性rpn5変異体を作成し、制限温度で培養した細胞が作るプロテアソーム関連複合体の形成を調べた。既に報告したrpn7やrpn6変異体と異なり、rpn5変異体ではリッドのサブユニット間の複合体は全く検出されなかった.この条件で、ベースと20Sプロテアソームの会合は起こっていた。この結果は、リッドとは独立にベースおよび20Sプロテアソームが形成されることを示している. 次に、ベースの形成がリッド形成に影響を与えるかどうかを調べた.ここでは、温度感受性rpn2変異体を用いた.制限温度下で、rpn2変異体は26Sプロテアソームを作らないが、完全なリッドおよび、Rpn2サブユニットの無いベースを形成した.リッド形成は19SRPとして行われるのではなく、ベースとは分離した状態で行われること、および、ベースとリッドの会合にRpn2が必要であることが示唆される。この点は今後の課題としたい。 26Sプロテアソームが核に主として局在することは既に報告されている。我々は、rpn7変異体で形成されるリッドの一部の複合体(Rpn5, Rpn6, Rpn8, Rpn9, Rpn11)は細胞質に局在することを示した.一方、今回、完全なリッドはベースや20Sプロテアソームとは独立に核に局在すること明らかにした。これらの結果を総合して、26Sプアロテアソームの分子集合について、次のような経路を提唱した。26Sプロテアソームの構成成分である、20Sプロテアソーム、ベース、リッドはそれぞれ独立に集合する。リッドとベースは細胞質で、20Sプロテアソームは、一部細胞質で集合し、核内で完成する。完成されたリッドおよびベースは別々に核に輸送され、そこで26Sプロテアソームが組み立てられる。 今後、コアの形成機構を解明すること、および、複合体間の会合の制御移行を会明する。
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