研究課題/領域番号 |
18370004
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石原 健 九州大学, 理学研究院, 教授 (10249948)
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研究分担者 |
古賀 誠人 九州大学, 理学研究院, 准教授 (60243888)
藤原 学 九州大学, 理学研究院, 助教 (70359933)
広津 崇亮 九州大学, 理学研究院, 助教 (70404035)
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キーワード | 学習 / 神経回路 / 脳 / 情報処理 / 線虫 / 行動 / 遺伝学 |
研究概要 |
動物は、刻々と変化する環境に対して適切に応答することが必要である。このような環境適応のために、感覚細胞を通じて受容した環境からの様々な情報を、神経回路において適切に処理し、環境に応じた行動をとったり、体のホメオスタシスを制御したりしている。このような感覚情報処理システムは、単純な神経系を持つ生物でも生存や子孫を残すために必須である。我々は、単純な神経回路を持つ線虫C.elegansをモデルとして、情報処理の分子基盤の解明を目指している。 本年度は、誘引性匂い物質ジアセチルと忌避物質銅イオンとの情報の統合を制御する分子として同定した受容体型グアニル酸シクラーゼGCY-28について、詳細な解析を進めた。GCY-28は選択的スプライシングによりa〜dの4種類のサブタイプがある。このうち、dサブタイプは、AIA介在ニューロンだけで発現していることが推定された。また、dサブタイプにだけ欠失を持つ変異体は、感覚情報の統合に異常を持つこと、全てのサブタイプに異常を持つgcy-28変異体に、dサブタイプをAIA介在ニューロンで発現させると表現型が回復することがわかった。AIA介在ニューロンは、ジアセチルを受容するAWA感覚ニューロンと銅イオンを受容するADL・ASH感覚ニューロンの両方からシナプス入力がある唯一の介在ニューロンであることから、AIA介在ニューロンにおいてGCY-28dサブタイプが働くことが、感覚情報処理に重要な役割を果たしていると考えられる。
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