日本に移入し野生化した2つのグッピー集団(沖縄県我部祖河及び静岡県下田市で採集し研究室で維持繁殖した個体)を用いてオプトモーターによる光感受性の測定と多型座位であるLWS-B及びLWS-Cの塩基配列の解析を行った。これにより、LWS-B及びLWS-Cの塩基配列を元にした遺伝子型の違いが光り感受性の違いに影響するかを調べた。その結果、2集団において8つの遺伝子型が同定された。また沖縄集団で見られた3つの遺伝子型間において、光感受性が有意に異なっていた。当研究の結果により、メスの光感受性における多型が野生集団内で維持されていることが示唆された。また、LWS-Bの遺伝子多型が異なる色の物体に対する反応が異なるかどうかを明らかにすることを目的とし、異なった遺伝子型を持つ個体の間で緑色のディスクとオレンジ色のディスクに対する反応に違いが現れるかを調査した。その結果、ディスクへの反応に色、性別、遺伝子型が影響を与えていることがわかった。しかし異なった遺伝子型を持つ個体の間で色ディスクへの反応に検定上、有意な差は見られなかったが、これは、サンプルサイズが小さかったためだと考えられた。 トリニダッドの集団のAripo Riverの下流域では、LWS-Bの多型が維持されている。今回の行動実験の結果、この多型は、感受性の異なる多型である可能性が示された。感受性の違う対立遺伝子がどのように維持されているのかに関しては、今後の課題である。
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