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2007 年度 実績報告書

アリをめぐる三者絶対相利共生系における地理的共進化過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18370010
研究機関信州大学

研究代表者

市野 隆雄  信州大学, 理学部, 教授 (20176291)

キーワード共進化 / 共生 / 種特異性 / アリ / カイガラムシ / アリ植物 / 熱帯雨林 / 東南アジア
研究概要

1. 東南アジアの湿潤熱帯雨林のみに分布するアリ植物オオバギ属の共生アリ17系統について、種分化と多様化の歴史を詳細に明らかにした。分布域全域をカバーする32地点からの433サンプルにもとづくDNA分子系統解析の結果、多様化がボルネオを中心にここ約2000万年の間に起こったこと、ボルネオ以外の地域では何度も絶滅が起こり、ボルネオからの移入によって種多様性が維持されてきたことなどが明らかとなった。
2. マレー半島とボルネオ島の13地点から採集した共生カイガラムシ220サンプルのmtDNA分子地理系統樹(COI遺伝子)を作成し、遺伝的多様度、集団サイズおよび個体数変動の歴史をそれぞれ地理的に解析した。その結果、カイガラムシの氷期レフュジアおよび地理的な分散経路は上記のアリの結果と似ており、ともに第三紀にボルネオ島で起源しマレー半島へと分散したこと、両者の氷期レフュジアおよび多様性の中心地はボルネオ北東部の山地帯であることなどが明らかになった。
3. ボルネオ島ランビル国立公園においてアリの体表面炭化水素を化学分析した。約40のコロニーから採取したサンプルは、その炭化水素の組成比から大きく8つのグループに分けることができた。この物質は種認識にかかわっている可能性が高く、したがってこれらのグルーピングは種を反映している可能性がある。mtDNA系統とこのグルーピングを比較したところ、一部不一致が見られたことから浸透交雑の可能性が示唆され、今後核DNAを用いた分子系統樹の見直しが必要であることが判明した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] The geography of diversification in mutualistic ants: a gene's-eye view into the Neogene history of Sundaland rain forests.2007

    • 著者名/発表者名
      S-P. Quek, S. J. Davies, P. S. Ashton, T. Itino and N. E. Pierce
    • 雑誌名

      Molecular Ecology 16

      ページ: 2045-2062

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 東南アジア熱帯雨林における植物-アリ-カイガラムシ3者共生系の分子系統解析2007

    • 著者名/発表者名
      上田昇平, Quek SP, 市岡孝朗, 村瀬香, Kondo T, Gullan PJ, 市野隆雄
    • 雑誌名

      昆虫DNAニュースレター 7

      ページ: 5-8

  • [学会発表] アリ植物オオバギ属に共生するカイガラムシ類が多様化した歴史地理的プロセス.2008

    • 著者名/発表者名
      上田昇平・Quek, S.-P・市岡孝朗・村瀬香・Kondo, T.・Gullan, P. J.・市野隆雄
    • 学会等名
      日本生態学会第55回大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-03-17
  • [学会発表] アジア熱帯雨林狭域(ボルネオ島ランビル)におけるアリ植物とアリの融通性.2008

    • 著者名/発表者名
      片岡陽介・市岡孝朗・乾陽子・上田昇平・村瀬香・Quek, S.-P.・市野隆雄
    • 学会等名
      日本生態学会第55回大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-03-17
  • [学会発表] アリ植物オオバギ属に共生するカイガラムシ類の分子地理系統解析.2007

    • 著者名/発表者名
      上田昇平・Quek, S.-P・市岡孝朗・村瀬香・Kondo, T.・Gullan, P. J.・市野隆雄
    • 学会等名
      日本昆虫学会第67回大会.
    • 発表場所
      神戸大学
    • 年月日
      2007-09-16
  • [学会発表] 植物-アリ-カイガラムシ3者共進化系の分子系統解析.2007

    • 著者名/発表者名
      上田昇平・Quek, S.-P.・市岡孝朗・村瀬香・Kondo, T.・Gullan, P. J.・市野隆雄
    • 学会等名
      昆虫DNA研究会第4回研究集会
    • 発表場所
      信州大学理学部
    • 年月日
      2007-05-03
  • [図書] アリ植物とアリの共進化-DNAで探る共多様化の歴史.In:共進化の生態学(種生物学研究第31号)2008

    • 著者名/発表者名
      市野隆雄・Swee-Peck Quek・上田昇平
    • 総ページ数
      31
    • 出版者
      文-総合出版

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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