研究課題
雌を単為生殖で子孫を産む能力と昆虫の社会行動の進化的相互作用を解明するのが本研究の目的である。最終年度の本年は成果の公表にとくに力を入れた。一番の成果は、ヤマトシロアリが補充女王生産時のみに条件依存的に単為生殖をするのを発見したことである。産雌性単為生殖や近親交配は子孫の血縁度を高め血縁淘汰による利他行動の進化を促すが、コロニーの遺伝的多様性を減少等により環境変化に対応できないという欠点がある。この条件依存的に単為生殖はこれらトレードオフを一度に解決する驚くべき戦略で、結果はScience誌に掲載された。条件依存単為生殖戦略は、やはり昨年度までに我々が発見したウメマツアリや、発見がNature誌に発表されたコカミアリ(これらでは女王による次世代女王のクローン生産と同時に,オスによるオスのクローン生産が起こっている)などでも見られ、アリ・ハチに共通する戦略であることが明らかになった。昨年度までに完全単為生殖種アミメアリの単眼大型個体が種内の社会寄生的系統ある事実をDNAマーカーにより厳密に検証したが、この成果を本年度Proceedings of the Royal Society of London Series B誌に発表した。その他、昨年度に引き続き産雌性単為生殖するアリの様々な行動生態や内部形態を比較研究し公表準備中の成果が沢山得られた。たとえば、産雌性単為生殖アリとその近縁種の受精嚢の構造を光学顕微鏡およびTEMを用いて観察したが、前者は典型的な女王の受精嚢と同様の構造をしめし、雄と交尾しなくなっても受精嚢の縮小や退化は生じていないことが明らかとなった.
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