研究概要 |
1.SRD2はsnRNA転写活性化因子をコードし,胚軸脱分化過程における細胞増殖能獲得段階に働く。胚軸外植片におけるSRD2の発現について調ベ,切り口近傍での傷害応答と思われる発現と,植物ホルモンに依存した中心柱での発現から構成されること,このうち後者が脱分化と関係することを確認した。胚軸脱分化に関わる発現調節域については,SRD2遺伝子のプロモーター解析により,75bpの範囲に絞り込むことができた。この調節域は芽生えにおける組織特異的発現にも関与していた。 2.SRD2::GUSレポーターの発現パターンが変化した突然変異体を多数単離した。根の中心柱での発現レベルが低下している変異体のプロモデオキシウリジン(BrdU)感受性を調べたところ,一部の変異体で根外植片のカルス形成のBrdU感受性が高まっていることが判明した。 3.BrdU耐性変異体brolおよびbro2は,それぞれAt2g22090,At3g07800にBrdU耐性の原因と思われる点変異を有する。これらの遺伝子のT-DNA挿入変異体を入手し,胚軸脱分化や芽生えの成長に対するBrdUの影響を調べた結果,いずれもBrdU耐性を示すことがわかった。 4.RID2はメチルトランスフェラーゼ様タンパク質をコードし,脱分化,細胞増殖活性化過程では,増殖能獲得段階と再開後の細胞増殖が安定化する段階の2点に作用する。昨年度までにrid2変異体で核小体が拡大することを確認していたが,新たに著量のrRNA中間体が蓄積していることを見出し,rRNAプロセッシングにRID2が関与することが示唆された。このほか,RID2の機能を分子遺伝学的に追及するための材料として,rid2抑圧変異体を単離し,抑圧変異の染色体マッピングを行った。
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