シロイヌナズナの突然変異体srd2とrid1観は、いずれも脱分化に伴う細胞増殖能獲得に関して強い温度感受性を示す。責任遺伝子のSRD2とRID1はそれぞれsnRNA転写活性化因子と食NAヘリカーゼをコードしており、プレmRNAスプライシングに関与すると考えられる。そこで、57d2変異体とr∫41変異体を材料に、胚軸外植片の脱分化・増殖再開過程での遺伝子発現変化について、スプライシングバターンも検出可能なタイリングアレイによる解析を行うた。その結果、今後の解析の基礎となる包括的な転写データを取得することができた。 脱分化と安定的な細胞増殖の維持に蘭わる温度感受性変異体rid2では、rRNAプロセッシング中間体の蓄積、核小体キャビティーの拡大などの異常が見られる。制限温度下でのカルス形成を指標に単離した抑圧変異体sriw1の解析を行い、機能未知のNACドメインタンパク質ANACO82の遺伝子に抑圧の原因と思われる塩基置換を見出した。sriw1ではrRNAプロセッシングの異常は回復していなかったことから.ANACO82がRID2の下流、増殖能・増殖活性制御の現場に近いところで働いている可能性が窺われた。 胚軸のカルス形成に関し、プロモデオキシウリジン耐性を示す突然変異体bro3とうbro4を新たに単離した。すでに確立していたbro1、bro2と合わせ、プロモデオキシウリジンの作用機作から脱分化機構に迫るための有用な道具となると期待される。
|