研究課題
本研究課題では、これまでに得た様々な変異体をツールとして、オミクス的アプローチ並びに我々が構築した重力感受細胞の生細胞イメージング系を駆使し、重力感受に引き続いて起こるシグナル変換・細胞間シグナル伝達の分子機構の解明を目的としている。今年度は次のような研究を行った。1)花茎重力屈性変異体sgr5は弱い重力屈性を示す。その原因遺伝子は、C2H2-type zinc finger proteinであること、また核局在することからおそらく転写因子であろうと考えられる。更に、SGR5は重力感受細胞である内皮細胞で機能すること、固定試料での観察から内皮細胞内のアミロプラストはほぼ重力方向に沈降していることを示した。以上の結果をまとめ、論文発表を行った。2)sgr9変異体もまた弱い重力屈性を示す変異体で、その原因遺伝子はRING finger domainを有するタンパク質であった。SGR9は主に重力感受組織(根冠および胚軸・花茎の内皮細胞)で発現すること、アミロプラストの周辺に局在することを示した。sgr9変異体とsgr5変異体の二重変異体は重力屈性能を完全に失うことが判った。それぞれの単独変異体の解析結果も合わせて、SGR5及びSGR9はおそらく遺伝学的には独立の経路で、アミロプラスト沈降及び動態に関与することを示した。3)重力刺激により転写が誘導される遺伝子の探索を、マイクロアレイにより行った。その結果、これまでに得られていたIAA5遺伝子に加え、少なくとも2遺伝子が確実に重力刺激後30分で発現上昇する遺伝子が得られた。また、重力刺激後5分という早期で発現上昇が見られる遺伝子も得られており、今後変異体での発現パターンと比較する予定である。
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Advances in Space Research (in press)
Plant J. 47
ページ: 619-628
Advanced Biomimetics Series 1プラントミメティックス -植物に学ぶ- (甲斐昌一, 森川弘道 監修)
ページ: 344-350