研究課題/領域番号 |
18370025
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
安部 真一 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (90109637)
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研究分担者 |
江頭 恒 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (40359964)
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キーワード | イモリ / マウス / FSH / neuregulin / retinoic acid / prolactin / アポトーシス / RNA結合タンパク質 |
研究概要 |
我々は、これまでにFSHがイモリ及びマウス精巣でneuregulin(NRG)1という分泌性の増殖因子の発現を促進することを見出した。NRG1の組み換えタンパク質を精原細胞のみの培養系や器官培養に加えたところ、どちらにおいても増殖を促進したが、器官培養では精母細胞特異的なマーカーであるSpo11やScp3の発現も検出された。NRG1は精原細胞への直接的作用とセルトリ細胞を介した間接的作用とともに減数分裂を開始させることが示唆された。最近マウス卵巣及び精巣においてretinoic acid(RA)が減数分裂の開始因子であり、RA分解酵素であるCyp26が減数分裂阻害因子であることが報告された。我々は、NRG1がRAの下流にあることを示唆する結果を得た。 減数分裂開始におけるNRG1の役割を明らかにするために、セルトリ細胞で発現するNRG1を欠損させるノックアウトマウスを作製した。現在解析中である。 イモリ精巣では、脳下垂体から分泌されるprolactin(PRL)が第7世代精原細胞にアポトーシスを誘導するが、この過程でPRLに応答してmRNAの発現が減少するRNA結合タンパク質を見出した。さらに、これが結合するmRNAとしてprogrammed cell death4(Pdcd4)を単離した。イモリ精原細胞にPRLによりアポトーシスを誘導すると、Pdcd4タンパク質の発現が減少した。さらに、Pdcd4を欠損させた細胞では、アポトーシスを誘導しなくてもPARPが分解され、カスパーゼ3タンパク質の発現とその活性化も亢進した。これらの結果から、Pdcd4はカスパーゼ3の翻訳を阻害しているが、アポトーシス誘導によって分解されると、カスパーゼ3が翻訳され、さらには自己活性化でアポトーシスを昂進させるものと示唆された。
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