研究概要 |
黄金色藻(ストラメノパイル系統群)オクロモナスOchromonas danica系統株(UTEX)の大量培養を行い,それらの遊泳細胞から,振とう処理により鞭毛を切断した後,遠心分離により細胞を取り除き,鞭毛だけの分画を得た.次にこの分画から特異的に管状マスチゴネマに付着するレクチン(ConA)による処理で鞭毛粗分画を単離した後に,界面活性剤処理,密度勾配遠心法により純度の高いマスチゴネマ分画を単離した.この分画を二次元電気泳動により分離・精製し,マスチゴネマ構成タンパク質を得た後,個々の構成タンパク質について部分的アミノ酸配列を決定し,得られたアミノ酸配列をもとに,いくつかのプライマーを設計し,個々のマスチゴネマタンパク質に対応するcDNAを決定したのち,塩基配列解析を行い,得られた塩基配列情報から抗原性の高い合成ペプチドを設計し,抗体を作製した.その結果,おそらくマスチゴネマの管状部を構成する新規タンパク質としてOcm1を同定した.Ocm1はこれまでに珪藻の有性生殖に伴って発現することが知られていた遺伝子SIG1と相同であると考えられる.また,ストラメノパイル系統群から綱のレベルで代表的な種を選定し,系統株を取得するとともに大量培養を行い,これらの種についてOcm1遺伝子を増幅するための特異的プライマーの作製を行った.また,ストラメノパイル系統群同様,鞭毛上にマスチゴネマ構造を持つが,その相同性が明らかでないクリプト藻類の系統株を取得し,大量培養を開始した.
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