研究概要 |
管病マスチゴネマ軸部構成遺伝子Ocm1のオルソログOcm2,Ocm3,Ocm4(構造はタンパク質問の結合に関与するepithelial growth factor(EGF)様モチーフを4つ有しており,Ocm1のそれによく類似していた。)について、推定アミノ酸配列に基づきポリクローナル抗体を作製し、間接蛍光抗体法によりOcm2およびOcm3は管状マスチゴネマ基部構成タンパク質、Ocm4は軸部構成タンパク質であることを明らかにした。また、特に褐藻Ocm3はその配列内に合計4つのイントロンを有し、これらは多くの比較的短いgap(in/del)を含むことから系統解析に有用ことが示された。世界各地から採集されたEctocarpus spp.(シオミドロ属の種)の系統株を対象に、管状マスチゴネマ関連遺伝子Ocm3(EcMas3)のイントロン配列を用いてその系統解析を行った。EcMas3イントロンはgap(in/del)の構造から18タイプに分類され、これらのタイプはEcMas3イントロンとミトコンドリアcox3遺伝子に基づく分子系統樹の主要なクレードと高い相関を示し、シオミドロ目は少なくとも8つの、おそらく種に相当する考えられる分類群を含んでいることが示された。また、MCIC法を用いたin/del情報の解析もまた、これらの結果を支持した。今後、in/del情報を用いた各クレードの分岐順序の解析やPCR産物の塩基長比較による簡便な種同定法の開発に利用が可能であると考える。
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