研究課題
本研究はSUMO(Small Ubiquitin-like Modifier)化によるたんぱく質の機能変換・制御を構造学的に明らかにする事を目的とした。平成18年度は、heat shock factor (HSF)2のSUMO化によるDNA結合活性の抑制効果について検討した。精製したタンパク質を使ったゲルシフトアッセイによって、HSF2のDNA結合ドメインと全長タンパク質は、DNA結合ドメイン内でのSUMO-1化によってDNA結合が減弱する事が示された。SUMO-1化されたHSF2 DNA結合ドメインのNMR解析から、SUMO-1とHSF2 DNA結合ドメインの間には安定な非共有結合は存在しない事、SUMO化によってHSF2 DNA結合ドメインには大きな立体構造変化は起こらないことを示唆する結果を得た。さらにスピンラベルを導入したSUMO-1化HSF2 DNA結合ドメインを用いた電子-電子共鳴(DEER)スペクトルやparamagnetic relaxation effect (PRE)を利用したNMR実験から、SUMO-1のDNA結合ドメインとの相対的な位置分布を検討した。さらにHSF2 DNA結合ドメインのDNA結合のモデリングを行い、SUMO化によるHSF2のDNA結合活性の抑制機構を考察した。またメチル化DNA結合タンパク質MBD1に結合するMCAF1の持つSUMO-interacting motif (SIM)に関する研究を行った。平成18年度までにMCAF1のSIMを含むペプチドとSUMO-3複合体の溶液中での立体構造をNMRにより決定していた。平成19年度はMCAF1 SIMペプチドとSUMO-3の変異体を使った相互作用における等温カロリメトリー(ITC)実験により、MCAF1 SIMの酸性残基クラスターの役割を検討した。
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