研究概要 |
Vault粒子を構成するRNA(Vault RNA)といくつかの代表的な抗癌剤との相互作用を、ケミカルシフトパータベーション法によって解析した。^<13>C,^<15>N安定同位体標識したVault RNAを、T7 RNAポリメラーゼを用いた酵素合成法によって得た。精製はSDSゲル電気泳動によって行なった。このvault RNAにケミカルシフトパータベーション法を適用する事によって、抗癌剤mitoxantroneと相互作用する事をせた。次にVault RNAが別の抗癌剤doxorubicine及びtoposideとも相互作用する事も、この方法によって分かった。さらに抗癌剤シスプラチンとの相互作用も示唆された。これらについては、vault RNAの同一部位周辺に結合する事が、ピークの移動(シフト)のパターンから予想された。一方抗癌剤マイトマイシン及びパクリタキセルとの相互作用は、あまり強くない事が示唆された。 C型肝炎ウィルスの翻訳調節領域に強く結合することで、その翻訳を阻害する事ができるRNAアプタマーに関して、NMR法による構造解析を行った。まず^<13>C,^<15>N安定同位体標識したRNAアプタマーを、Vault RNAと同様な手法で調製・精製した。次にイミノプロトンに関するNOESYスペクトルの解析を行い、2次構造の決定および標的核酸との相互作用様式に関する知見の取得に成功した。現在立体構造の決定に向け解析をさらに進行させている。
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