研究概要 |
がん抑制遺伝子産物pVHLはElongin B,Elongin Cと複合体を形成し,ユビキチンE3リガーゼの基質認識サブユニットとして機能する。このサブユニット間相互作用を生細胞内でFLIM-FRETによってイメージングした。Cerulean-Elongin BとCitrine-Elongin CをCHO-K1細胞で共発現し,FLIM顕微鏡装置でドナーであるCerulean-Elongin Bの蛍光寿命を計測した。その結果,単独発現に較べて,明らかに蛍光寿命の短縮がおきていた。また,アクセプターであるCitrine-Elongin Cの蛍光寿命曲線で明白なライズを観察することができた。これらの結果はElongin BとElongin C間で相互作用が存在することを示している。 つぎに,pVHLとElongin Cの相互作用を同様にCeruleanとCitrineのキメラ蛋白質としてCHO-K1細胞に発現し調べた。FRETシグナルはほとんど観測できなかった。しかし,さらに.Elongin Bを共発現したところ,pVHLとElongin Cの相互作用がFRETとして観察することができた。この結果はElongin CのコンフォメーションがElongin Bによって変化し,その変化したElongin Cの構造をpVHLが認識して結合することを示唆している。さらに,Elongin CのElongin Bによるコンフォメーション変化を調べるために,Elongon Cの両末端にCeruleanとCitrineを結合し,FRETを測定した,Elongin BがなくてもFRETは計測できたが,Elongin Bの共発現により,Elongin Cの分子内FRETはさらに増大し,Elongin Bの結合によってElongin Cの構造変化が起きることが,強く示唆された。
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