研究概要 |
1.細胞内におけるMBPのオルガネラ局在性の解析 本年度はまず、MBP-GFPをHLF(ヒト肝癌細胞)に安定発現させ、MBPの特徴的な細胞内局在性を各種のマーカータンパク質と比較しながら共焦点顕微鏡を用いて詳細に検討した。Golgiのマーカーとしてmannosidase IIを、cis GolgiのマーカーとしてKDEL受容体を、GS(Golgi SNARE)28,GM130を、TGNのマーカーとして、p230 trans Golgiを、ERのマーカーとしてKDEL, DPI, Erp57などを、COPIIのマーカーとしてsec23を、COPIのマーカーとしてα-COP、およびβ-COPを使用し、それぞれの特異的抗体で検出した。その結果、MBPはER膜の一部、特にexit siteと思われる部分およびCOPIIに最も高い局在性が観察された。また、Gold particle法を用いた免疫電子顕微鏡による観察も、共焦点顕微鏡による観察を裏付けていた。なお、MBPのこのような顆粒への選択的蓄積は、細胞をツニカマイシン処理してN-結合型糖鎖の生合成を阻害した場合には見られず、MBPがN-結合型糖鎖の細胞内プロセシングに関与していることを強く示唆している。 2.MBPによる補体活性化の分子機構に関する研究 補体活性化作用に必要なMBPによる糖鎖認識パターンの解明を目指す一つのアプローチとして、すでにその構造を明らかにしているSW1116表面のMBPの内在性リガンド糖鎖を特異的に認識する単クローン抗体の作成を進めた。SW1116細胞をマウスに免役し、ニトロセルロー膜に結合させた糖鎖ライブラリーを用いて解析した。現在、いくつかの抗体産生株について、産生される抗体の糖鎖特異性、タイピングなどを進めている。なお、購入したサンプル塗布装置は糖鎖ライブラリー作成に有効に利用されている。
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