研究課題
ダイニン1分子を可視化するために、すでにダイナクチンp150のダイニン結合部位(C1)にゲルンリンを結合させた融合タンパク質(C1G)を結合させて蛍光アクチンをプローブとして用いていたが、ゲルゾリン単独では微小管と相互作用しないが、融合したタンパク質がある場合そのタンパク質の微小管親和性を変える可能性が考えられたので、ゲルゾリンにかえてGFPを融合したタンパク質を作製し、その微小管上の挙動を全反射顕微鏡(TIRF)で観察した。その結果、定性的にはC1の性質にこれまでの結果と同様であることが確認され、定量的にはばらつきが減って精度がよくなった。こオはゲルゾリンに結合させる蛍光アクチンの長さが均一に揃えられないことに由来するものと考えをれ、GFP融合タンパク質を全反射顕微鏡で観察する系のほうが精度よく観察できることが明らかになった。このことから、微小管上のdiffusiveな動きの拡散定数を求めることが可能になり、現在継続して計測中である。ダイニンのヌクレオチド感受性が細胞質ダイニンと軸糸ダイニンで異なることが示唆されてきたが、今回、AMPPNPを使うことによりその差が明確に示された。すなわち、軸糸ダイニンではAMPPNPを結合すると微小管から解離した状態をとり、AMPPNPはATPに対して拮抗阻害として働くことがわかった。一方、細胞質ダイニンでは、AMPPNP存在下で微小管に強く結合し、ATPとAMPPNPの両方が存在する中ではATPによる運動を阻害し、両者の量比のバランスにより微妙な重きをすることが明らかになった。ヌクレオチド結合部位のアミノ酸配列比較から、AMPPNPは軸糸ダイニン、細胞質ダイニンともにP1ループに競合的に結合するとともに、細胞質ダイニンではP3ループにも結合し、その差が微小管結合に機能の差となっていることが考えられる。
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