研究課題/領域番号 |
18370061
|
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
郷 通子 お茶の水女子大学, 学長 (70037290)
|
研究分担者 |
由良 敬 日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究副主幹 (50252226)
塩生 真史 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 講師 (30345847)
|
キーワード | タンパク質立体構造 / 選択的スプライシング / ホモロジーモデリング / 機能部位 / RNA |
研究概要 |
高等真核生物にある遺伝子の多くは、選択的スプライシング(AS)を受けることが明らかになってきている。ASにより作られる複数個の成熟mRNAは、部分的に異なるアミノ酸配列を持つタンパク質をコードする。その結果、1つの遺伝子から多様な機能を持つタンパク質が作られることが期待されている。本研究では、ASの結果作られるタンパク質(AS産物)がどのような立体構造をとるかを推定し、分子性および細胞性機能への影響を推定する。平成18年度は以下の3点に示すように、AS産物のデータ収集とASがタンパク質立体構造にもたらす影響の概観を解析した。(1)cDNAとESTのゲノムへの対応付け:ヒトとマウス以外の全ゲノム塩基配列が決定されている脊椎動物において、ゲノム塩基配列と転写産物塩基配列の比較を行い、ASにより影響を受けるアミノ酸配列上の領域(AS領域)を同定した。その結果、C末端側がまったく異なるアミノ酸配列に変化するAS領域が多く見られることがわかった。(2)既知AS産物立体構造対からの学習:立体構造が決定されているAS産物数例においてAS領域の立体構造を観察したところ、ASによりアミノ酸残基が挿入される場合、挿入部分の立体構造がX線結晶解析で定まっていない場合があることがわかった。(3)立体構造既知アミノ酸配列と派生アイソフォームのアラインメント法とAS産物のホモロジーモデリング法の開発:AS産物を立体構造が判明しているホモロガスなタンパク質とアラインメントすると、70%の場合は、立体構造形成に重要なタンパク質コア部分にアミノ酸残基の挿入、欠失または置換が起こっていることがわかった。このようなAS産物は、安定な立体構造を形成するとは考えがたい。AS産物がホモロジーモデリングの対象となり得るかなり得ないかを見分けるアラインメント法が必要であることがわかった(研究発表論文参照)。
|