研究課題/領域番号 |
18370063
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 春木 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (80134485)
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研究分担者 |
米澤 康滋 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任研究員 (40248753)
鷹野 優 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (30403017)
大島 勘二 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任助手 (40437330)
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キーワード | 生物物理 / 酵素反応 / 生体分子 / 量子化学 / 分子動力学 / 分子シミュレーション / 電子状態 / 反応自由エネルギー |
研究概要 |
(i)非経験的電子状態計算(QM)と分子力学計算(MM)を連成させるために、我々が従来開発を続けているMMプログラムにQMプログラム(非経験的分子軌道計算)をサブルーチン化して組み込んだ。このQM/MM連成プログラムの並列計算性能は、32CPU並列までほぼリニアーなスケーラビリティが得られ、これはQM計算における2電子積分のアルゴリズム改良による。さらにQM領域に近接するMM点電荷を、ガウス分布型電荷としてQM計算に取り込む改良を行った。 (ii)反応座標に沿って、調和ポテンシャルをアンブレラ・ポテンシャルとして適用できるように連成計算プログラムを改良した。また、アンブレラ・サンプリング法で、反応座標に沿って高速かつ精密な反応自由エネルギーを得る方法として、アンブレラ積分法をこの連成計算プログラムに実装した。 (iii)QM/MM連成計算において、膜蛋白質等の巨大な系を周期的境界条件で高速・正確に計算するため、Ewald法及びParticle Mesh Ewald法に代わる方法として、静電相互作用の取り込みにおいて、中性電荷条件とポテンシャル・ダンピング条件を特徴とする改良型Wolfポテンシャル法を、上記連成計算プログラムに実装した。 (iv)リパーゼとホスホン酸エステルの酵素-阻害剤複合体、およびRNaseH-核酸複合体に対してその電子状態計算・古典力学計算を実施した。分子動力学法を用いてリパーゼのカルボン酸エステル加水分解反応における四面体中間体の選択性を調べたところ、ホスホン酸エステルの構造は、密度汎関数法によって得られた酢酸メチルのエステル交換反応での中間体に類似していた。また、RNaseHのリン酸エステル加水分解反応機構では、活性部位におけるMg^<2+>に配位しているAspやGluがMg^<2+>に近づいていた。ここでMg^<2+>の変位は等価ではなかった。
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