研究課題/領域番号 |
18370065
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
徳永 万喜洋 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00192659)
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研究分担者 |
十川 久美子 独立行政法人理化学研究所, 免役1分子イメージング研究ユニット, 研究員 (20291073)
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キーワード | 1分子イメージング / 分子システム / シグナル伝達 / 免疫細胞活性化 / 転写因子 / 分子定量 / 薄層斜光証明法 / 蛍光顕微鏡 |
研究概要 |
細胞内・生体内の分子機能を明らかにするためには、分子機構をシステムとして理解することが重要である。そのためには、生体分子数および相互作用を、空間・位置の関数として定量することが必須である。1分子イメージング・定量解析により、細胞における生体分子の分子動態、相互作用を定量的に明らかにできる。(1)免疫細胞(T細胞)におけるシグナル伝達分子が、活性化初期過程において、マイクロクラスターを形成することを我々は既に見いだしている。これをさらに発展させ、アダプター分子Vavについて、刺激後の動態を蛍光観察により解析した。変異分子の動態と合わせ、特定のチロシン残基がT細胞活性化初期過程に必須であることをつきとめた。Vavは、T細胞活性化初期過程において、アクチンとの相互作用に関与していることが知られており、このチロシン残基がシグナル伝達分子の集積、移動に重要な役割を果たしている可能性を示唆している。(2)シグナル伝達は、やがて核内へと伝えられ、転写因子として作用開始する。T細胞における刺激前後の転写因子分布とその組合せの変化の研究を行った。GFP変異体または蛍光標識抗体を用いて転写因子のマルチカラー3次元イメージングを行い、1分子感度で可視化することができた。(3)細胞内で生きた1分子解析とシステムを結びっけるために、数値モデリング解析を行った。1分子イメージングと定量解析により、細胞質一核間輸送の分子機構に関して、細胞中における結合分子数・結合定数・相互作用が求められた。これをもとに、輸送分子と核膜孔複合体の2種類の結合部位を有するモデルを考え、ブラウン運動・結合解離・反応のシミュレーションを行った。その結果、一つの核あたり数100万分子/minで核内輸送されることや、濃度依存性など、実験結果をよく説明できた。以上のように、1分子研究を用いて、システムとしての細胞機能を解明している。
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