研究課題/領域番号 |
18370074
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 一馬 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (60188290)
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研究分担者 |
鎌田 このみ 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (80312354)
山本 隆晴 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (80312346)
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キーワード | 細胞極性 / 脂質の非対称性 / 細胞膜 / 酵母 / リン脂質トランスロケース / タンパク質リン酸化酵素 |
研究概要 |
細胞膜リン脂質の分子種が脂質2重層の細胞外側と細胞質側で分布濃度を異にすることが知られており、膜脂質の非対称性と呼ばれて様々な細胞機能への関与が示唆されているが、その制御機構には不明な点が多い。 私達は、細胞極性形成を制御する遺伝子として見いだしたCdc50/Lem3ファミリーが、膜リン脂質を細胞質側へと輸送するリン脂質トランスロケース型ATPaseであるDrs2/Dnf1/Dnf2ファミリーと膜上で複合体を形成していることを明らかにしてきた。Lem3-Dnf1およびLem3-Dnf2複合体は、細胞膜に局在してその脂質非対称性を制御していると考えられている。最近私達は、このDnf1およびDnf2をリン酸化して活性化するタンパク質リン酸化酵素としてFpk1とFpk2を見いだして報告している。 今回、lem3変異とfpk1/fpk2変異を合わせた3重変異株が増殖欠損を示すことを見いだした。そこでLem3-Dnf1/2と機能的に相互作用する遺伝子を見いだすために、3重変異株が示す増殖欠損を高発現状態で抑圧する遺伝子を探索し、SFK1を得た。SFK1はフォスファチジルイノシトールキナーゼであるSTT4の機能発現に必要な細胞膜タンパク質として見いだされていたが、その機能の詳細は不明であった。lem3変異株は、脂質非対称性が崩れて細胞膜外側にフォスファチジルエタノールアミンやフォスファチジルセリンが露出するために、これらのリン脂質に結合する薬剤に高感受性となることが知られている。興味深いことに、lem3変異株においてSFK1を高発現すると、この薬剤高感受性を抑圧した。従って、SFK1は脂質非対称性制御に関わる新しい膜タンパク質であることが示唆された。 以上のように、本研究において着実な成果をあげることができた。
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