研究課題
本研究は、我々のこれまでのArfGAPに関する研究成果に基づき、細胞の運動性や浸潤性の獲得過程、並びに、運動や浸潤ににおける極性決定や方向持続性に関する分子機序を明らかにすることを目的とする。既に、ArfGAPの一つであるGit2が好中球細胞の遊走時における極性形成と運動方向持続性に必須であることを、その詳細な分子機構と共に論文に報告した。Arfには幾っかのアイソフォームがあり、ある程度オーバーラップはするが異なった機能を担う。今年度は引き続き好中球細胞の遊走をモデルとして、Git2が標的とするArfアイソフォームの確定と、そのArfがどのようにして極性形成と運動方向持続性に関与するのかを明らかにする事を目的とした。その結果、Git1はArf1を標的とする事、一方、Git2はArf6に対しても生化学的にはGAP活性を示すが、Arf6の抑制は好中球細胞遊走に直接には関与しない事、Arf1の発現を抑制すると好中球細胞の遊走能が著しく阻害される事を見出した。好中球細胞の遊走には一般にGαiと共合するGPCRが用いられる。上記の結果を踏まえ、現在、GPCRの下流に位置し、Arf1の活性化に関わるGEFの同定を行っている。同時に、Arf1の機能が如何にして極性形成や運動方向持続性に関わるのか、特に、Arf1によるGolgi体の集合や配向性、機能発揮との関連において研究を進めている。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
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