研究課題/領域番号 |
18370083
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
今本 尚子 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 主任研究員 (20202145)
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研究分担者 |
前島 一博 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (00392118)
小瀬 真吾 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (90333278)
高木 昌俊 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 専任研究員 (60324779)
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キーワード | 核膜孔複合体 / 細胞周期 / Photobleach / 核膜 / マルチ遺伝子発現システム / 細胞核 / CDKインヒビター / インシュレーター |
研究概要 |
細胞核構築における核膜とクロマチンの相互作用の関係を探るため、核膜の最も顕著な構造体である核膜孔複合体の挙動が細胞機能に応じてどのように変化するのかを調べている。本研究を通してこれまでに、ヒト培養細胞の細胞周期において、1)G1期からDNA複製期にかけて、核膜孔複合体の分布が崩れ、G2期には核膜全面に均一に分布するようになること、2)分布の均一化に伴って核膜孔の数が増えること、3)核膜孔複合体の分布が核内膜タンパク質であるラミンに影響を受けることを見いだしている。本年度は、間期核における核膜孔複合体の形成過程とダイナミクスを可視化することにより、核膜と核内構造の相関に変化が生じる細胞周期タイムポイントを同定する、ことに焦点を絞って研究を進めた。まず、部位特異的組換え反応(Flp/FRT)を利用して、染色体上の特定部位に1〜数個の遺伝子を効率よく組み込む原理を利用した発現ベクターに転写干渉を防ぐインシュレーターを組み込み、複数のcDNAを効率よく同時に細胞内に導入して発現させるマルチ遺伝子発現システムを共同研究で開発した。この発現システムで複数の核膜孔複合体構成因子の安定発現株を取得した。その中で、核膜孔複合体の中で最も安定に存在すNUP133-YFPの発現株に着目し、488mmレーザーをもちいて核膜表面のある核膜孔領域をbleachすることで、間期核膜上に新たに形成される核膜孔複合体を検出する解析系を考案した。HeLa細胞をnocodazole処理で分裂期に同調し、release後、経時的にbleachすることで、核膜孔複合体が形成される細胞周期タイミングを詳細に調べた。様々なCDK阻害剤によって細胞周期進行を阻害した結果、間期の核膜孔形成が、細胞周期によって厳密にコントロールされていることが示された(投稿準備中)。新たな知見を得た意義のある研究成果である。
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