研究課題
平成19年4月11日〜14日にスペインバルセロナで開催された、第一回国際トリ発生生物学会議に出席し、細胞移動と器官形成に関する発表、及びトリ胚操作に関する新規方法論であるトランスポゾンTol2を用いだ半永久的細胞標識法とコンディショナル発現法に関する発表を行った。またスペインのNieto教授との研究打ち合わせを行い、細胞挙動の分子制御と遺伝子発現制御に関する情報を交換した。これらの研究打ち合わせで得られた情報をもとにして、さらに研究を続行させ、以下の成果を得た。pTP1-Venusレポーターで遺伝子のエレクトロポレーション法により、内在性のNotchは各体節内の後端部で活性化されることを見出した。またこれらの細胞は、のちに腹側に向かって移動し、背側大動脈にたどり着いた後、血管内皮細胞へと分化することを観察した。これらの挙動を分子レベルで詳細に解析するために、恒常的活性型であるNotchコンストラクトを用いてエレクトロポレーションしたところ、Notch活性細胞はやはり体節の後端部に集積した。この集積は、前端部における細胞死が大きな原因であることを突き止めた。またNotch活性細胞は、背側大動脈方向へと積極的に移動し、血管内皮細胞へと分化した。生体内3次元環境での血管形成において、細胞の移動が大きく関与し、またその細胞移動がNotchによって制御されているというこれらの知見は全く新しく、その一部は論文として発表された。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件)
Developmental Biology 305
ページ: 625-636