研究課題
平成19年度には、申請者が第一著者として、東アフリカの後期中新世初頭から発見されていた大型類人猿を記載し、新属新種ナカリピテクス・ナカヤマイとして全米科学アカデミー紀要に発表した。このアフリカの大型類人猿とほぼ同時代のユーラシアの中新世大型類人猿とを比較すると、西ヨーロッパのドリオピテクスやトルコ以西のアンカラピテクスやシヴァピテクスなどは、アフリカのナカリピテクスとは多かれ少なかれ異なっているが、ギリシア産出のウーラノピテクス・マケドニエンシスは、大臼歯や小臼歯、犬歯のサイズやプロポーション、形態の面において、これと著しい類似をみせた。しかしながら、ウーラノピテクスは、アフリカのナカリピテクスよりも大臼歯のエナメルの厚さや咬耗パターンが堅い食物や歯をすり減らしやすい食物にもっと強く適応していると推測された。この点については、最近トルコから新たに報告されたウーラノピテクスの新種でも同様の傾向を示すと思われる。東南アジアに関しては、主にタイ王国における中新世ホミノイドに関連する調査を推進した。たとえば、タイ北東部の中新世ホミノイド産地であるター・チャン地域で出土したアントラコテリウム類の頭骨化石の記載をタイの学生と共同して進めた。このアントラコテリウム類はメリコポタムス属であり、従来知られている種のうちではインド亜大陸のMerycopotamus medioximusに似るが、幾つか相違点が見られた。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
Proceedings of the National Academy of Science, USA 104
ページ: 19220-19225