研究課題/領域番号 |
18370099
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
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研究分担者 |
百々 幸雄 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50000146)
天野 哲也 北海道大学, 総合博物館, 助教授 (90125279)
埴原 恒彦 佐賀大学, 医学部, 教授 (00180919)
松村 博文 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70209617)
増田 隆一 北海道大学, 創成科学共同研究機構, 助教授 (80192748)
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キーワード | オホーツク文化人骨 / アイヌ / 縄文時代人骨 / 頭蓋形態 / 古代DNA / 北東アジア / 同位体分析 |
研究概要 |
北大総合博物館保管のオホーツク文化人骨の整理、復元を実施した。さらに、頭蓋の計測、非計測項目の調査を行った。非計測項目については、オホーツク文化をサハリン・北海道北部と北海道東部に二分し、分析を実施した。スミスの距離を求めると両者は近いが、Riiでは、差がある。北部オホーツクはサハリンアイヌに近く、また、東オホーツクが、北海道アイヌに近づくのではなく、独自の位置を占めていることが示された。 オホーツク文化人の遺伝的特徴を明らかにするために、モヨロ貝塚を含むオホーツク文化期の遺跡から出土した人骨を用いて古代DNA分析を行った。ミトコンドリアDNAコントロール領域を遺伝子増幅し、塩基配列を決定した結果、16個のDNAタイプが同定された。そのうち、6タイプはオホーツク文化人に特異的であったが、残りの10タイプは、現在のサハリンやアムール河下流域に居住する北東ユーラシア民族集団の間で共有されていた。 モヨロ貝塚出土人骨の歯の計測データと非計測データを採取した。モヨロとの比較に用いる予定の北東アジア人集団の歯冠計測値のデータ解析も行い、類縁関係を分析した。結果は、内陸型、沿海型、極北型のグループに分離され頭蓋形態のそれとおおむね矛盾はない結果となった。 頭蓋観察および頭蓋計測値からみるとヨーロッパ人のみならず日本の縄文人やアイヌに類似する西モンゴルのチャンドマン青銅器時代人頭蓋の非計測的特徴を調べた。眼窩上孔と舌下神経管二分の出現頻度を比較すると、オホーツク文化人は縄文・アイヌ群と東シベリア群のほぼ中間に位置するモヨロ貝塚出土試料を中心に、放射性炭素年代を進めた。昨年度までに測定した安定同位体比に基づいて、海洋リザーバー効果の影響を補正し、各資料の帰属年代を検討した。安定同位体分析では、いずれの遺跡でもオホーツク文化集団は、海生哺乳類を主要なタンパク質源としていることが示唆され、彼らの主たる生業が海獣狩猟であると推測された。
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