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2008 年度 実績報告書

光に対する視覚的及び非視覚的な生体反応の生理的協関性と多型性

研究課題

研究課題/領域番号 18370100
研究機関国立精神・神経センター

研究代表者

樋口 重和  国立精神・神経センター, 精神保健研究所・精神生理部, 室長 (00292376)

キーワード光 / 概日リズム / メラトニン / 体内時計 / 体温 / 睡眠 / 個体差 / 生理的協関
研究概要

体内時計の夜型化に関連のある環境および生理的な因子を明らかにすることを目的として実験を行った.インフォームドコンセントを得た健常な男子大学生14名を対象に,3夜連続で終夜覚醒と昼間睡眠(10:00〜16:00)を繰り返した.第1夜は,恒暗条件下で唾液中メラトニン濃度の分泌開始時刻(DLMO)と直腸温のnadir時刻(直腸温が最低となる時刻)を測定し,これらを概日リズム位相(体内時計の夜型化)の指標とした.夜型化に関連する候補要因として以下のものを測定した.1)コンスタントルーチン下で測定した体温nadir時刻から習慣的な起床時刻までの時間,またはDLMOから就床時刻までの時間(位相角差),2)第1夜から第2夜にかけて恒暗条件下で生じた位相の後退量,3)光の感受性の指標として,第2夜の夜に1000ルクスの光曝露を4時間行った際に生じたメラトニンの抑制率.4)実生活の中で習慣的な起床後と就寝前に浴びている光の量.相関分析の結果,概日リズム位相が遅い個体ほど,概日リズム位相と睡眠覚醒タイミングの位相角差が小さいこと(DLMOの後すぐに就床,あるいは体温nadirの後すぐに起床),恒暗条件下で生じた位相後退量が大きいこと,光に対するメラトニンの抑制率が小さいこと,起床後6時間の間に250ルクス以上の光に曝露されている時間が短かった.以上の結果より,概日リズム位相が後退している個体は,概日リズム位相に対して睡眠覚醒のタイミングが前倒しになっている(位相角差が小さい)ことが分かった.この結果は,概日リズムの位相が後退している個体ほど,概日リズムの位相が前進しやすい時間帯(体温nadir時刻のすぐ後)に多くの光を浴びている可能性を示唆している.しかし,実際に概日リズム位相の朝型化がみられないのは,習慣的に起床後に浴びている光の量が少ないこと,光に対する概日リズムシステムの反応性が小さいこと,あるいは内因性の概日周期が長いことが関係している可能性が示唆された.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Inter-individual difference in pupil size correlates to suppression of melatonin by exposure to light2008

    • 著者名/発表者名
      Higuchi S, Ishibashi K, Aritake S, Enomoto M, Hida A, Tamura T, Kozaki T, Motohashi Y, Kazuo M
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters 440(1)

      ページ: 23-26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 光とヒトのメラトニン抑制2008

    • 著者名/発表者名
      樋口重和
    • 雑誌名

      日本時間生物学雑誌 14(1)

      ページ: 6-13

    • 査読あり
  • [学会発表] 光-概日リズム特性の個体差と体内時計の夜型化について2008

    • 著者名/発表者名
      樋口重和, 有竹清夏, 榎本みのり, 鈴木博之, 高橋正也, 三島和夫
    • 学会等名
      第15回日本時間生物学会学術大会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2008-11-08
  • [学会発表] よいリズム(シンポジウム講演)2008

    • 著者名/発表者名
      樋口重和
    • 学会等名
      日本生理人類学会第59回大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-10-18
  • [学会発表] Lighting and human wellbeing(シンポジウム講演)2008

    • 著者名/発表者名
      Higuchi S
    • 学会等名
      The 9th International Congress of Physiological Anthropology
    • 発表場所
      Delft
    • 年月日
      2008-08-25
  • [学会発表] 模擬夜勤時の光曝露による概日リズム位相の後退量と睡眠構築の関係2008

    • 著者名/発表者名
      樋口重和, 有竹清夏, 榎本みのり, 鈴木博之, 高橋正也, 三島和夫
    • 学会等名
      日本睡眠学会大33会定期学術集会
    • 発表場所
      福島
    • 年月日
      2008-06-27

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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