研究課題/領域番号 |
18380001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久保 友彦 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40261333)
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研究分担者 |
三上 哲夫 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50133715)
寺地 徹 京都産業大学, 工学部, 教授 (90202192)
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キーワード | 遺伝学 / 遺伝子の進化 / 多様化 / 生殖 / 植物 / 細胞質雄性不稔性 / 性 / 両性花・雌花異株 |
研究概要 |
前年度に引き続き、稔性回復遺伝子(Rf)の進化過程に関する研究を行った。近縁種におけるテンサイRf1カウンターパートの構造解析を中心に実験を進め、以下のような成果を得た。 1.テンサイと同じくヒユ科に属するケイトウ(Celosia cristata)よりDNAを抽出し、Rf1をプローブとしたサザン解析を行ったところ、当該遺伝子が重複していることが示唆された。続いてケイトウより該当領域をクローン化したところ、Rf1に類似の遺伝子が少なくとも2コピークラスターを形成していることがわかった。塩基配列分析の結果、イントロン挿入位置も保存されていることが判明したが、テンサイRf1では不活性型(HQxxH)となっているZn^<2+>モチーフが、ケイトウではシロイヌナズナや出芽酵母と同じ活性型(HExxH)であった。いずれの遺伝子コピーも転写されており、一方は全身で、もう一つは花芽でのみ転写産物が検出された。 2.テンサイと同属のB. trigynaよりDNAを抽出し、Rf1をプローブとしたサザン解析を行ったところ、当該遺伝子が重複していることが示唆された。テンサイRf1遺伝子座を参考にしてプライマーを設計し周辺領域を標的としたPCR解析を行ったところ、増幅産物を得ることが出来たので、テンサイとB. trigynaでは遺伝子座の保存性が高いことがわかった。これまでにB. trigynaからクローン化できた2コピーのRf1相同遺伝子はいずれも偽遺伝子であり、少なくとも緑葉では転写産物が検出できなかった。しかしながら、いずれのコピーもZn^<2+>モチーフが不活性型であった。 3.これまでに得られたデータを総合すると、Rf1の進化過程において重要なイベントである遺伝子重複とZn^<2+>モチーフの不活化は、Beta属が分化する以前より進行しつつあった可能性が高いと結論でき、原Rfの起原も非常に古いかもしれない。
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