開始初年度は以下の方法で研究を推進した. 1.草型関連変異体の育成・形質評価 当研究室で保有している突然変異体系統の中から研究開始前年度において選定した多数の草型決定に関わると思われる変異体を圃場に展開し、茎葉の伸長パターン、葉身の開葉性、稈強度と稈構造、収量などに関する諸形質を定性、数量的に測定し変異体の特性形質について評価を行った. 2.遺伝子単離のための雑種集団(F1およびF2)の育成 これらの変異体の中から上記形質に関して最も注目される表現形質を示した変異体の一部を対象に、遺伝子単離を行うためのF1およびF2集団の育成を行った.このうち、稈の構造変異を伴う強稈変異体、および長葉身変異体とカサラスの交配F2分離集団を用いてラフマップを行い、変異体遺伝子の座乗位置を特定した.現在大規模解析集団を用いてファインマップを作成中である. 3.変異体の相互交雑による系統の育成 変異体遺伝子間の相互作用の関連性を明らかにするため、注目する変異体間の相互交雑を行い、数種の異なる組み合わせで二重変異体を育成した.また、遺伝子単離を対象とする変異体と草型と関連の深い植物ホルモンに関与する既知の変異体との間でも交雑を行い、F1およびF2雑種集団を育成し、F2集団から二重変異体を選抜した. 4.植物ホルモンに対する反応試験 原因遺伝子の機能を予測することを目的に、遺伝子単離を対象とする変異体を中心に各種植物ホルモンに対する反応や生理実験を行い、変異体遺伝子の作用に見られる特徴を解析した. 以上の他に、実用試験に供試する変異体遺伝子を導入した系統の育成作業を進めた.また、草型に関連する実用形質を有する育成品種を用いたOTL解析用の交配集団を育成し、表現形質調査によるデータを取得した.
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