研究課題/領域番号 |
18380005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥本 裕 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90152438)
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研究分担者 |
谷坂 隆俊 京都大学, 農学研究科, 教授 (80026591)
中崎 鉄也 京都大学, 農学研究科, 講師 (60217693)
築山 拓司 京都大学, 農学研究科, 助教 (00423004)
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キーワード | イネ / ゲノム / MITE / Oryza属 / 種分化 / 転移因子 |
研究概要 |
品種"銀坊主"ではPingおよびmPingのコピー数が著しく多く、現在でもmPingの転移および増幅が継続している。既報のトランスポゾではコピー数が10個から100個程度に増加したものは全て転移が抑制されている。ところが、銀坊主のmPingでは千コピー以上に増幅した後でも転移が抑制されない。この原因を解明するため、mPing転移が抑制されている日本晴と銀坊主との交雑後代F_6個体別F_7系統を用いて系統毎に親個体にはない新規挿入の出現頻度、すなわち転移頻度を調査した。さらに、銀坊主と日本晴との間のmPing挿入多型を利用した遺伝子地図に基づくQTL解析により、mPing転移活性に関与するQTLを染色体10、11および12に検出した。mPingの転移にはPingがコードする2種類のORFからの転写産物が必要であるが、これらQTLの中にはmPingの転移に直接関与するPingは見出されなかった。つぎに、mPingの起源を明らかにすることを目的として、Oryza属19種50系統におけるmPingの分布を調査した。この結果、mPing配列は供試した全ての種に分布しており、遠縁種間であってもmPingの配列は極めて高度(99%以上)に保存されていた。野生イネに見いだされたmPing配列は3種に大別でき、銀坊主で最初に見出された430bpのもの(I型)、242-252にかけて9塩基の置換を有するもの(II型)、および239-249にかけての11塩基が欠失しているもの(III型)であった。後2者の分布がAAゲノムのO. sativa、 O. rufipogon、 O. nivaraに限定されているのに対して、I型は一部のAAゲノム種を除く全ての種に見出された。したがって、mPing配列の起源はOryza属の種分化以前に遡ると考えられた。
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