研究課題/領域番号 |
18380007
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
今村 順 玉川大学, 農学部, 教授 (80384717)
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研究分担者 |
半田 裕一 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物ゲノム研究ユニット, 主任研究員 (20343957)
肥塚 信也 玉川大学, 農学部, 准教授 (30433866)
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キーワード | 細胞質雄性不稔 / cms / orf125 / 稔性回復 / ミトコンドリア / ナタネ / Kosena |
研究概要 |
ミトコンドリアゲノムにコードされているcms遺伝子orf125のコピー数は、核遺伝子Frにより制御されていることは前年までの研究で明らかになった。今年度はFr遺伝子の遺伝様式を調べorf125のコピー数の変動は核支配の一因子優性遺伝子であることを証明することができた。また、orf125量が減少したヘテロ接合体(Frfr)に品種Westar(frfr)を交配して得られたF_1個体(frfr)とその自殖後代(F_2)のorf125量を比較したところ、その量はCMS個体のおよそ50%でFr遺伝子が存在しないにもかかわらず一度減少したorf125量は2世代にわたりCMS個体のレベルに復帰しなかった。すなわち劣性ホモ個体においては、orf125のコピー数をCMS個体のレベルまで増加させる働きが弱いか、あるいはないと思われる。また、ヘテロ接合体ではorf125量は半減しているが3世代にわたりほぼ同量を維持し、消失しないことが分かった。これに比べ優性ホモ個体では一世代でorf125が完全に消失する。すなわちFrの1遺伝子量ではorf125は不完全な消失にとどまり完全に消失させるためには2遺伝子量が必要であることが明らかになった。 orf125遺伝子のミトコンドリアゲノム中における存在様式を明らかにするために、CMSナタネのorf125を含む7200bpの領域の塩基配列を決定した結果、orf125の終止コドン上流32bpから下流はミトコンドリア遺伝子ccmFN1領域のゲノム配列と完全に一致し、一方、上流側はコセナのorf125領域とほぼ一致しており、組換点近傍にある87bpの反復配列を介した組換えにより生じたことが明らかとなった。さらに、詳細な塩基配列比較から、CMSナタネのorf125領域で見られた組換えは、コセナのミトコンドリア中では同様な反復配列があるにもかかわらず抑制されており、サイブリッド化によって始めてその抑制が解除されて生じたことが明らかとなった。
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