研究課題
本課題では、強力なポジティブ・ネガティブ選抜によるイネターゲティング法の機能ゲノム学推進に向けた実用化を目指し、組換え機構の理解を進めつつ、ゲノム改変を効果的に行うため、以下の課題を進めた。これまでにCre遺伝子を一過的に発現させることで、Waxy遺伝子の第一イントロンに挿入したマーカー領域の削除を行い、再生植物での物Waxy遺伝子の発現を花粉で確認した。しかし、再生植物体は不稔となったため、詳しい解析には至らなかった。次いでエストロゲン誘導型プロモーター制御下でCreを発現することで、Waxy、アルコール脱水素酵素遺伝子(Alcohol dehydrogenase)のAdh2、Adh1のターゲティング改変体での、破壊遺伝子の復帰を検討した。エストロゲン誘導型プロモーターを持つCre遺伝子を、Waxy、Adh2、Adh1のターゲティング破壊系統から誘導したカルスに再導入後、誘導条件を検討してCreの発現を行った。PCRによる解析のレベルではWaxy、Adh2、Adh1の遺伝子領域に挿入されたポジティブマーカーとトランスポゾン由来転写終止領域の削除が確認できたが、再分化植物の不稔の傾向が極めて高く、Waxy、Adh1の機能復帰植物は、ほとんどが不稔となった。Adh1のターゲティング改変体で1系統のみ数個の種子を得たので、機能復帰の状態を発芽種子で確認した上で、分子レベルでの解析を進行中。イネの相同組換え能を強化したターゲティング法の改革については、従来の強力なポジティブ・ネガティブ選抜によるイネターゲティング法の効率化の実現に向けて、形質転換法の各条件を再検討し、極めて効果的な方法になりつつあり、相同組換え機構の分子レベルの仕組みの解析を行った。
すべて 2008
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Nucleic Acids Research 36
ページ: 4727-4735