研究課題/領域番号 |
18380012
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三宅 博 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (60134798)
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研究分担者 |
谷口 光隆 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (40231419)
川崎 通夫 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (30343213)
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キーワード | ストレス / 塩ストレス / C4植物 / 作物 / 細胞・組織 / 微細構造 / グラナ / 葉緑体 |
研究概要 |
1.イネ科C3植物3種類とイネ科C4植物9種類を用い、塩ストレス処理による成長抑制とNa含量との関係を調べた。C4植物の方が明らかに塩ストレスに強かったが、体内に取り込まれたNa量は少なかった。成長抑制とNa含量との相関を調べたところ高い相関があり、両者の関係は直線で回帰できた。また回帰直線の傾きはC4植物の方が大きかった。したがって、C4植物はNaの取り込み量が少ないために塩ストレスに対し抵抗性を示すが、体内に取り込まれたNaに対しては、むしろC4植物の方が耐性は低いと判断された。 2.数種のイネ科C3植物とC4植物に塩ストレス処理をおこない、光合成速度および蒸散速度を測定した。可視障害の現れていない展開最上位葉においては、塩ストレスの有無によって光合成速度および蒸散速度に有意な差は認められなかったが、塩ストレスによって先端部に可視障害の現れた下位葉では、可視障害の現れていない部分で測定しても光合成速度および蒸散速度は著しく低下していた。したがって、塩ストレスによる成長抑制は、下位葉における光合成阻害によってもたらされると推察された。 3.10種類のイネ科C4植物に塩ストレスを与え、グラナ構造に及ぼす影響を調べた。維管束鞘葉緑体のグラナ形成が抑制されているNADP-ME型C4植物だけでなく、観察した全てのC4植物において、塩ストレスによる維管束鞘葉緑体におけるグラナ形成の促進が認められた。したがって、グラナ形成の原因として抑制機構への障害とは結論できなくなった。 4.トウモロコシに塩ストレスを与え、グラナの構成成分であるLHCPII遺伝子の発現変化をin situハイブリダイゼーション法で観察したが、十分な反応が得られなかった。そこで現在タンパク質の抗体を作製し、免疫電子顕微鏡法による遺伝子発現の観察をすすめている。
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