研究概要 |
除草剤多剤抵抗性タイヌビエに関して、次のような研究成果が得られた。 (1)交雑による除草剤多剤抵抗性の遺伝様式と遺伝子の同一性の解析 タイヌビエのR,S生物型のF1個体を自殖させて得られた多数の正逆F2個体を個体識別して自殖させ、個体毎に得られたF3種子から育苗した実生を供試して、除草剤モリネートに対する生物検定(10-5M)を行い、この除草剤に対するF2個体を抵抗性ホモRR,ヘテロRS、感受性ホモSSの3遺伝子型に分類した。しかし、これらのモリネート抵抗性ホモ、感受性ホモの多くは、それぞれ、他の3つの除草剤に対して必ずしも抵抗性ホモ、感受性ホモと同定されなかった。したがって、サクラメントで発見された多除草剤抵抗性のタイヌビエは、モリネート、チオベンカーブ、フェノキサプロップ、ビスピリバックの4除草剤に対して抵抗性であるが、それらの抵抗性に関与する遺伝子が共通でないことが示唆された。 (2)AFLPマーカーによる除草剤多剤抵抗性タイヌビエの抵抗性を発現する遺伝要因の解析 R,S生物型のF2分離集団88個体に対して、162組合せのプライマーを用いたAFLP分析を行った結果、44の多型バンドに由来するAFLPマーカー座の遺伝子型が得られた。これらマーカー座間の連鎖関係を調べたところ、27のAFLPマーカー座によって構成される9個の連鎖群が検出された。しかし、除草剤多剤抵抗性の対象となった4除草剤に対する抵抗性に有意に関与する共通したAFLPマーカー座は認められなかったが、ビスピリバック・ナトリウムに対する抵抗性に有意に関与する二つのマーカー座は、他の三つの除草剤に対しても抵抗性遺伝子が座乗する可能性を示唆した。
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