研究概要 |
アイスプラントは高塩環境下におかれるとリンゴ酸とNaClの蓄積に特化した二つの液胞を同一細胞中に発達させる。液胞の機能分化は塩蓄積能及び耐塩性いずれにも関与することから、今年度はまず、異なるNaCl条件下で誘導したそれぞれの液胞をショ糖密度勾配遠心分離法で効率的に単離する条件を決定し、液胞膜タンパク質を二次元電気泳動で分離した。タンパク質の等電点と分子量から、NaClを蓄積する液胞ではNa^+/H^+対向輸送体タンパク質の発現量が増加し、液胞膜カチオン/H^+対向輸送体の発現量が減少すること、またリンゴ酸を蓄積する液胞では、リンゴ酸輸送体とプロトンポンプの発現量が増加することを明らかにした。さらにNaClストレスに伴いアクアポリン、ストレス反応タンパク質、タンパク質分解酵素、自食作用タンパク質、及び小胞輸送タンパク質等の発現量が増加することを見いだした。 体表面に形成される塩の貯蔵器官であるブラッダー細胞(EBC)の機能を調べるため、EBC欠損突然変異体の塩ストレス下における生長量、NaCl吸収特性及びイオン構成比を調査し、EBCがアイスプラントの耐塩性、塩蓄積ならびにイオン恒常性に重要な役割を果たすことを明確にした(Agarie, et. al.,2007)。またEBCの形成に関わる遺伝子を39個単離し、そのうちの2個が野生株の表皮に特異的に発現する遺伝子であることを明らかにし、それぞれのcDNAの全長を決定した。 CAM型光合成の日変化を制御するホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼキナーゼ遺伝子の発現調節機構を調べるために、この遺伝子のプロモーター領域を単離し構造を決定した。さらにプロモーター領域を5'側上流領域より欠失させ、レポーター遺伝子を結合したプラスミドを作成した。
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