研究概要 |
青果物の貯蔵性を維持することは,作物の流通にとって最も重要なテーマである.近年,酸化チタンに紫外線を照射し,励起した電子を用いて人為的に活性酸素種を作り出し,殺菌やエチレンの分解を行う光触媒を作物の貯蔵に用いる試みがなされている.そこで,申請者らは,従来のように換気された貯蔵庫ではなく,密閉した貯蔵庫で光触媒を用い,エチレンを分解すると共に酸素や炭酸ガスを一定濃度に維持し続ける貯蔵技術の開発を目的として,下記の研究を行った. (1)光触媒を利用することにより,貯蔵庫内のエチレン濃度を1/2以下に抑制することができた. (2)光触媒を利用することにより,貯蔵庫内の炭酸ガス濃度を1/2以下に制御することができた. (3)光触媒を利用することにより,青果物の糖濃度の低下を抑制し,品質を維持できた. (4)光触媒を利用しても,イチゴのように貯蔵性の乏しい青果物の日持ち性を改善することはできなかった. 以上の結果を踏まえ,平成19年度以降では,日持ち性の改善に重点を置いた光触媒装置及び貯蔵法の改良を行う.
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