研究概要 |
富栄養化水を培養液として用いて野菜を栽培し,同時に富栄養化水を浄化する養液栽培システム,およびSS(懸濁物質,浮遊物質)を培地として栽培を行う周年的な実用規模の野菜生産システムを設計、実用化し,最終的には,得られた成果を,我が国だけにとどまらず,広くアジア地域また,世界各地にも応用可能な汎用的な技術にすることが本研究の目的である。本研究では以下の項目についてさらに発展的に研究し,実際農家に利用可能なシステムを開発することを目的として研究を行なっている。 これまでの研究で,開発中のシステムにより,富栄養化水中のSS(懸濁物質,浮遊物質)が大幅に除去可能であることが判明している。さらに,エンサイ等の野菜はイオン状態の肥料成分だけでなく,捕捉されたSS中の肥料成分も一部利用していることが分かってきた。SSは,水中に分散している固形物で,粒径2mm以下のものと定義され,湖沼の富栄養化にも大きく関わっている物質である。 本年度はこのSSに注目して試験を行った。栽培中にSSを積極的に捕捉し栽培試験を行ったところSSが生育に寄与していることが明らかとなった。このように,栽培中にSSを積極的に捕捉し,捕捉したSSで冬期の栽培を行うというようなシステムは現状では着想されておらず,極めて独創的かつ有意義な研究である。 本栽培法の基本的技術の開発は順調に進み,最終年度となる本年度の試験を既に始めている。今後も他の研究者とも情報交換を行ない,効率的に試験を進める予定である。
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