研究概要 |
平成18年度の解析結果を踏まえ,マイクロアレイ用完全長cDNAライブラリのEST解析を継続して行った。合計で7001のクローンをランダムに選び,塩基配列を決定した。その結果,611群の関連した遺伝子と2410個の固有な配列が得られ,1098の高度に保存されたESTでは機能を推定した。 新たに作成したマイクロアレイの有効性を調査するため,蕾をステージごとに採集し,RNAを抽出して解析したところ,112の機能を推定した遺伝子で開花直前に発現量が増加した。アントシアニン合成系やタンパク分解に関係する遺伝子もこれらに含まれたため,このマイクロアレイがペチュニアの開花に関係する遺伝子の発現解析に有効であることが示された。 また,FBP2遺伝子の変異個体の分析も継続して行った。花冠縁部が緑色に着色するFBP2変異個体では花冠縁部が気孔をもつなど,葉に近い構造をしている。その変異遺伝子のゲノム塩基配列を決定したところ,第2イントロンにspm様トランスポゾンが挿入されており,これをdPiTp1と名付けた。エクソンの配列は正常な遺伝子と同じであったことから,このトランスポゾン挿入によって転写が抑制されていることが示唆された。 今後のマイクロアレイ解析の材料として予定しているベイン関連遺伝子について,野生変異個体を見いだし,その交雑後代の分離比から,原因遺伝子が単一である可能性を明らかにした。また,ベイン系品種との交雑により,品種とこの野生変異の遺伝子が同一であることも確認した。
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