研究概要 |
本年度に得られた研究の成果は以下のように要約される. 1.トウガラシ果実に含まれるカプサイシノイド類似非辛味性物質の化学構造を明らかにした結果,この物質群は未知の物質であることが判明した.これらの物質群に対してカプシコニノイドと命名した. 2,カプシコニノイドはカプサイシノイドと同様の生理作用があることを明らかにした.さらに,カプシコニノイドは果実の胎座の表皮で生合成されることが明らかになった.また,完熟果ではカプシコニノイドは1/3程度に減衰した.カプシコニノイドは常温ではかなり不安定な物質であり,油中あるいは低温下で安定である. 3.カプシコニノイドはCapsicum baccatum var. praetermissumに多量に含まれるが,他の種・品種にも少量含まれることを明らかにした. 4.'FM-8'ならびに'紫'トウガラシと'CH-19甘'との交雑後代からカプシノイド(新規非辛味性物質:発汗作用あり)を約1000ppm(乾物重当たり)含む生食用品種を育成した. 非辛味性物質カプサイシノイドの合成に関与するアシルトランスフェラーゼ遺伝子のDNAマーカーを構築し,非辛味・多汁性トウガラシの品種育成に成功した.
|