研究概要 |
マイクロバブルオゾンは水中でゆっくりと浮上していく間にナノレベルまで縮小し,気泡内のオゾンを完全に水中ぺ溶かし込んで気泡が消滅し,オゾンが空気中に排出されることがないため安全性が高い.さらにマイクロバブルの優れた溶解力は,高効率でオゾンを処理水中に短時間で溶解させることが可能であった.トマト根部へのオゾン水に対する耐性試験では18ppmの高濃度に対し根部の成育障害は認められず,地上部への散布試験でもオゾン14ppmまでの濃度に対し茎葉への障害は認められず健全な成育を示した.また,トマトめ養液栽培におけるマイグロバブルオゾン水を用いた青枯れ病の予防効果について,青枯れ病の発生率:1回目の試験においてオゾン水無処理でぽ青枯れ病の接種が無処理,低濃度,高濃度でそれぞれ10.0,33.3,83.3%となった.オゾン5ppm処理では低濃度接種区の発病を完全に抑制したが,高濃度接種区ではその効果は小さかった.2回目の試験では1回目同様低濃度接種区のオゾン5ppm処理で発病が完全に抑制され,10ppmによる抑制効果も認められた.3回目の試験では低濃度接種区の発病はオゾン5ppm,10ppm処理でともに抑制効果が高かったが,高濃度接種区では抑制効果は小さくなった.しかし高濃度接種区は現実には考えられないほどの高濃度である.ただ特定の処理区で抑制効果が認められないところがあり,その要因として,オゾンと菌の接触め微妙な時間的ずれが考えられたので,今後実用に耐えられるようにオゾン濃度がー定時間維持可能なNFT栽培での検証を計画している.環境保全の面から排培養液を栽培施設外に出さない循環式養液栽培への移行が望まれている今日,病害防除の観点から,長期利用に耐え得る養液栽培を目指し,マイクロバブルオゾン水による効果的利用法の確立に努める.
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