研究概要 |
Allium schoenopraumにおける球根形成および休眠性に関与する遺伝子の探索を目的として、同種内の変種関係にあたるアサツキおよびチャイブ間での交配で得られたF1にアサツキを戻し交配した実生について、圃場栽培をおこない、夏季に球根を掘り上げ,球根比および球根横断切片中の最大りん葉厚について調査した。球根比について,アサツキは4.54と明瞭な球根形成を示したのに対し,チャイブは1.19と小さかった.これらのF_1個体の球根比(1.27)はチャイブに近く,球根形成はみられなかった.BC_1個体群の球根比は1.36〜4.03の範囲に分布したが,その変異は連続的であり,球根比に基づく分類は困難であった.そこで,球根の最大肥大部より横断切片を作成したところ,外見上,球根肥大が認められたBC個体群は,球根内で分げつを生じたため肥大したものと鱗葉そのものが肥大したものの2つに分類された.そこで,最大鱗葉厚により分類したところ,BC_1個体群の鱗葉厚は,チャイブおよびF_1個体に近い1〜1.5mm,アサツキに近い4.5〜5mmにピークがみられたものの,その中間の2.5〜3.5mmにも多くの個体が分布した.つぎに,リン葉厚に基づき,上位および下位各5個体でBulk集団を形成させ,昨年度までとは異なる100種類のランダムプライマーをもちいてRAPD法により球根形成に関与するマーカーの探索を行ったところ,1プライマーで球根非形成集団に特異的に出現するバンドが検出された.
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