研究概要 |
平静18年度の計画に従って以下の諸研究を進めた. (1)珠心胚実生を用いた幼樹開花条件の調査:購入した人工気象器を用いて,4ヶ月齢のグレープフルーツ珠心胚実生を15℃,20℃,25℃,10℃/20℃および20℃/30℃の温度条件下で生育させた結果,15℃,20℃および10℃/20℃で幼樹開花が起ることを確認した.また,1ヶ月毎に播種したグレープフルーツ珠心胚実生を10℃以下にさがらないように設定した温室で生育させた結果,8月播種の実生が最も高い幼樹開花率を示した(以上は6月まで調査を継続して,有効葉数などを調査した後,最終結果とする). (2)幼樹開花性に関連する候補遺伝子群の探索:カンキツ実生の葉を供試し,mRNAの抽出法の検討を進めた.現在までのところ,幼樹開花実生に特異的なDNA候補断片は見出していない. (3)幼樹開花性と雄性不稔性の遺伝解析:11月に播種した約20の交配組み合わせの雑種実生群について幼樹開花実生と雄性不稔実生の分離を調査した結果,細胞質稔性回復因子の存在がイヨカン,クレメンティン,河内晩柑などで予想された.幼樹開花性と雄性不稔性の核遺伝子に関する遺伝解析は6月まで調査を継続した後に行う予定である. (4)雄性不稔性に関するDNAマーカーの探索:HY16xグレープフルーツの交配から得た幼樹開花(雄性不稔と雄性稔性)実生を供試して,RAPDマーカー,マイクロサテライトマーカーおよびAFLPマーカーについて探索した結果,現在までのところ,AFLPで2つのマーカーを確認している.今後はこれを基にさらにプライマー数を増やしてさらに多数のマーカーの検索を行う. (5)以上の幼樹開花と雄性不稔の情報を基に次年度の計画の交配計画等の見直しと改良をおこなった.
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