研究課題/領域番号 |
18380026
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
若菜 章 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (10158579)
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研究分担者 |
尾崎 行生 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60253514)
酒井 かおり 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (30403976)
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キーワード | 幼樹開花 / カンキツ / 幼若性 / 雄性不稔 / DNAマーカー / 遺伝子地図 / 連鎖 / mRNA |
研究概要 |
平成19年度の計画に従って諸研究を進め、以下の成果を得た。 (1)珠心胚実生を用いた幼樹開花条件と非幼樹開花条件の確立(若菜・酒井): 人工気象器とファイトトロンを用いて、幼樹開花および非開花条件の反復謂査及び補足調査を進めた。現在も昨年と同様に開花が連続的に起き、開花条件(5葉-25葉の実生に10/20℃の変温処理)を確認した。 (2)幼樹開花性に関連する候補遺伝子群の特定(尾崎・ポスドク): 18年度の結果を基に、グレープフルーツの種子を8月に播種・発芽させ、開花条件(10-20℃)と非開花条件(25℃)下で育成し、花芽分化が起きる翌年2月にこれらの実生の葉と茎頂部を採取して、全mRNAを抽出した。また、開花が起こらない2年生実生についても同様な温度条件下で育成し、全mRNAを抽出して対照とした。現在までのところ、幼樹開花に特異的なmRNAは見いだしていない。 (3)幼樹開花性と雄性不稔の遺伝解析(若菜): 18年度の交配組合せから得た一部実生については追加調査を行うとともに、ブンタン類を種子親とする新たな交配から得た各種雑種実生に幼樹開花を1-5%の割合で確認した。これらのことはブンタン類のほとんどがヘテロの幼樹開花性遺伝子を持つこと示している。これらの幼樹開花実生には雄性不稔は、現在まで、見られないのでブンタン類には雄性不稔遺伝子を持つ個体が少ないと推察された。 (4)幼樹開花性と雄性不稔性に関するDNAマーカーの連鎖分析(若菜・酒井): HY-16_xグレープフルーツから得た幼樹開花実生において、雄性不稔と16.7cM及び18.3cMで連鎖する2つのRAPDマーカーを見いだし、連鎖地図を作製した。さらに、ユニバーサルプライマーCMNを用いたRAPD分析で幼樹開花性と連鎖するDNA断片を発見し、連鎖分析を進めた。この結果から、幼樹開花性が1又は少数の遺伝子によって支配されていることが分かれば研究が飛躍的に進む可能性が示唆された。
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