研究概要 |
1. Binding assay系の確立 免疫電顕の観察から、ureaseは中腸細胞に存在するmicrovilliに吸着することが明らかになっている。そこで、ureaseと結合する膜タンパク質を検出するbinding assay系を確立するために、中腸細胞のmicrovilli画分(brush border membrane vesicles : BBMVs)を分離する条件を検討した。また、クワ葉から粗ureaseを分離し、ビオチン標識した。BBMVsとビオチン標識ureaseを用いてbinding assay系を構築する予定である。 2. Urease遺伝子とその関連遺伝子の同定 これまでに、全長urease遺伝子を取得しているが、ureaseの活性発現には、accessory proteins(UreD, UreF, UreG)が必要である。これらタンパク質の内、UreG遺伝子の全塩基配列を決定した。また、UreF遺伝子の部分配列を明らかにした。これら遺伝子は微生物およびアラビドプシスから分離されたものと相同性が極めて高く、特異配列のモチーフは完全に一致していた。また、UreG遺伝子はurease遺伝子と共に、幼根部で発現していることをRT-PCRにより確認した。 3.カイコ体内に取り込まれる新規宿主タンパク質の探索 これまでに、ureaseと異なるクワ葉タンパク質が中腸を通過し、カイコ体液に取り込まれることを明らかにしている。選択吸収される主要なタンパク質(pI=6.6、MW=31k)について、ペプチドマスフィンガープリンテイング法により、同定を試みた。その結果、当該タンパク質はカイコ由来の30kDaタンパク質である可能性が高く、クワ由来のタンパク質ではなかった。この分析結果は、これまで使用していたアフィニティークロマトのみの精製では、カイコ体液由来のタンパク質を完全に除去することができないことを示しており、新たにゲル濾過、イオン交換クロマトなどを組み合わせた精製ステップを加える必要がある。
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