研究概要 |
1.ダイズのオートレギュレーション機構(ARS)が根粒形成と菌根形成の相互作用(競争関係)に及ぼす影響を調べるために,エンレイと関東100号(ARS欠損品種)の根粒,菌根形成について比較した。その結果,エンレイでは根粒形成と菌根形成との間に競争は見られなかったが,関東100号では菌根形成によって根粒数の減少が見られ,ARSは根粒形成と菌根形成の競争関係を緩和していることが示唆された。 2.根粒非着生変異体En115,En1314のマッピング集団において,Nodファクター受容体遺伝子と相同性を示すダイズEST由来のDNA多型がこれら変異体の原因遺伝子と共分離を示した。単離遺伝子はEn115ではイントロン内のスプライスドナーサイトに一塩基置換が,En1314では678bpの欠失が存在することがわかったが,この遺伝子はESTマーカーとは異なる連鎖群上に座乗し,マッピング集団では本遺伝子とESTマーカーの遺伝子型がいずれも変異体型になると根粒非着生を示すことがわかった。 3.関東100号とエンレイをリン施用レベルをにかえてポット栽培(褐色森林土)したところ,根粒着生量は「エンレイ」に比べて「関東100号」が数倍多く,両品種ともリン施用量の増加に比例して多くなった。また,菌根形成強度および樹枝状体形成率は「エンレイ」に比べて「関東100号」において高い傾向を示し,両品種ともリン施用量の増加に反比例して減少した。 4.ダイズ野生型のエンレイおよび根粒形成突然変異体En6500を無リンで水耕培養し,根の浸出物を回収した。培養14日目のアーバスキュラー菌根菌Gigaspora margaritaの外生菌糸にこれらの浸出物を与え,菌糸長及び分岐数を測定した。菌糸長及び分岐数は,浸出物添加48時間後にEn6500でエンレイ及び対照区より大きかった。
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