研究分担者 |
原田 久也 独立行政法人農業生物資源研究所, 基盤研究領域, 研究員 (70011913)
礒井 俊行 名城大学, 農学部, 准教授 (30211733)
俵谷 圭太郎 山形大学, 農学部, 教授 (70179919)
山本 亮 農業・食品産業技術総合研究機構・作物研究所, 大豆生理研究チーム, 研究員 (60391439)
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研究概要 |
1.ダイズの野生型品種エンレイと根粒超着生品種関東100号を用いて,根粒形成と菌根形成の相互作用に及ぼすオートレギュレーション機構の関与について検討した.その結果,エンレイでは根粒形成が菌根形成を抑制し窒素固定活性が増大したが,関東100号ではそのような傾向は認められなかった.従って,ダイズのオートレギュレーション機構は,根粒形成と菌根形成の相互作用に関与していると考えられた. 2.根粒非着生変異体En115,En1282,En1314よりNodファクター受容体遺伝子の塩基配列を決定した.Enl15ではイントロン内のスプライスドナーサイトに一塩基置換が,En1282ではアミノ酸置換を伴う一塩基置換が,En1314では678bpの欠損領域が存在することがわかった. 3.栽培品種エンレイと根粒超着生系統En-b0-1に根粒菌接種区,菌根菌接種区,低リン施用区,高リン施用区を設けて栽培したところ,根粒着生量はEn-bO-1が数倍多くなった.一方,菌根形成は総じて低く,エンレイの方がやや高い傾向を示した. 4.ダイズ野生型のエンレイ.Braggと変異体En-bO-1,MTS1007及びEn1282を2段階のリンレベル(0,8mgP/L)で水耕培養し,根の浸出物を回収した.菌根菌Gi.margaritaの外生菌糸にこれらの浸出物を与え培養し,菌糸長及び分岐数を測定した.菌糸長は対照区と比べてエンレイのPO区,Bragg両区で有意に長かった.分岐数は有意差はなかったが,MS1007以外ではよく分岐した. 5.同一遺伝子の変異であるが原品種の異なる4つの根粒超着生変異系統を圃場で栽培し,自然発生する病気を観察した.ほとんどの病害に対していずれの超着生系統も原品種との間に病度の違いは見られなかったが,黒根腐病に対しては遺伝背景にかかわらず根粒超着生系統での発病が増えることがわかった.
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