研究課題
根粒形成の自己制御機構が低下又は欠損したダイズの変異株は、親株の数倍から10倍程度の数の根粒を形成し、根粒超着生形質を示す。昨年度は米国の品種Williamsより分離された根粒超着生変異株NOD系統の初期生育を親株と比較し、根粒菌接種の有無や培地中硝酸の有無に関わらず、NOD1-3とNOD3-7は葉身が親株よりも小さいままで展開を停止することを見いだした。本年度は、日本の品種エンレイとその根粒超着生変異株En6500の形質を比較した。根粒菌接種の有無と培地への硝酸供与の有無で水耕栽培し、両者の生長を比較した。播種18日後の主根長では、エンレイは、栽培条件に関わらず、約40-50cmと大きな差が見られなかったが、En6500では、根粒菌非接種、無窒素では、53cmとエンレイを凌駕したが、根粒菌接種や、硝酸供与条件では、主根の伸長が約30cmと抑制された。En6500の葉身の大きさはエンレイより小さく、NOD変異株と同様な結果を示した。第二の実験として、根粒超着生変異株の原因遺伝子NST1は、アラビドプシスの茎頂分裂組織の形態形成に関与するCLAVATA1と高いホモロジーがあることが示されていることから、CLAVATA1と結合すると予想されるペプチドを合成し、WilliamsとNOD1-3の葉柄から葉身に蒸散流で投与し、根粒形成への影響を調べた。結果的に、根粒形成への影響は認められなかった。これまで、培地に硝酸を与えると、根粒の生長が、急速かつ可逆的に阻害されることを報告してきた。根の生長に対する影響を、水耕栽培Williamsの根で観察した。主根の伸長については、根粒同様に、硝酸を投与するとすぐに伸長が抑制され、培地から硝酸を除去するとすぐに回復した。一方、側根の伸長は、硝酸を培地に与えた方が促進された。
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