研究課題
マメ科植物は過剰な根粒形成を抑制する「オートレギュレーション機構」をもつ。この機構は地上部の特に葉身が支配しているが、そのシグナル物質も含めて機構の全貌は未だに解明されていない。一方、硝酸を培養液に添加すると根粒の生長と、窒素固定活性の低下が起こるが、オートレギュレーションとの関係が示唆されている。オートレギュレーションにかかわる物質を検索するため、ダイズ初生葉の1枚を切除し、葉柄から目的物質を供与して根粒の形成と生長の差異、根と地上部の生長への影響を調査した。光合成産物であるスクロース、病原菌感染と関連するサリチル酸、窒素化合物であるグルタミン、アスパラギンを濃度段階を変えて供与した。その結果、スクロース、サリチル酸、アスパラギンでは根粒の着生数、粒径共に有意な差は見られなかったが、グルタミン供与については10μM、100μM濃度の処理区に置いて根粒着生数が有意に減少した。これにより窒素栄養状態を反映する化合物であるグルタミンが根粒着生にかかわる物質である可能性が示唆された。水耕ダイズの地下部を一時間ごとに撮影した画像から根粒面積の増加をPC上で測定する方法を開発した。硝酸0mM区と硝酸5mM区で、明期には処理開始から4時間後まではほぼ同様の肥大生長を観測したが、処理開始5時間後からは硝酸5mM区で肥大生長の阻害が見られた。根の伸長生長については、硝酸5mM区の主根では明期区、暗期区ともに処理開始1~3時間で硝酸添加による伸長成長の抑制が見られた。側根は主根、根粒とは逆に伸長成長の促進が見られ、硝酸添加1~3時間ほどで現れることが明らかになった。次に、硝酸阻害とオートレギュレーションの関係をしらべるために、水耕栽培したダイズに硝酸を与える区と与えない区を設けて、根粒の遺伝子発現量のマイクロアレイ解析を行なった。硝酸吸収、代謝関連遺伝子の変動等が確認された。
すべて 2009
すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)