1)愛知県安城農業技術センターの長期肥料連用試験圃場(無肥料区、NPK区、NPKCa区、堆肥区)から、計11回田面水を採取し、ウィルス数と細菌数の季節変動を調査した。その結果、ウィスル数は5.6x10^6〜1.2x10^9mL^<-1>(平均1.5x10^8mL^<-1>)、細菌数は9.2x10^5〜4.3x10^8mL^<-1>(平均5.1x10^7mL^<-1>)と大きな季節変動を観察し、ウィルス数は、これまで海洋や湖沼で観察された数に比べて多い数であった。また、ウィルスと細菌の比は0.11から72と広い範囲で変動し、細菌数の低下に伴ってその比の増加する傾向が認められた。 2)同じ田面水を用いて、水田から分離した18種の細菌に感染するファージ数の季節変動を調査した。その結果、田値え後6日目の田面水で多くのファージが観察され、中干し期まで減少する傾向を示した。また、ウィルス数は一般に中干し以降に多かった。なお、ウィルス数に対する施肥来歴の影響は認められなかった。供試した細菌中Sphingomonas sp. Enterobacter sp. Cytophaga sp. Microbacterium sp.に感染するファージ数が多いことも判明した。加えて、18種の細菌のゲノム中のprophageの存在と、これら細菌に対する田面水中のファージ数の関係を調査した結果、prophageの存在により田面水中のファージの感染が抑制される傾向(superinfection immunity)は認められなかった。 3)透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、田面水中のウィルスのサイズ分布を調査した結果、処理区間での違いや季節変動は全く観察されず、平均50〜70nmで正二十面体のウィスルが多く観察された。
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