研究課題/領域番号 |
18380056
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
菊池 洋 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40273320)
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研究分担者 |
田中 照通 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (30273337)
梅影 創 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (30419436)
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キーワード | 海洋性光合成細菌 / 菌体外核酸 / DNA / RNA / Rodovulum sulfidophilum |
研究概要 |
いくつかの細菌において、培養する際培地中に能動的に核酸を生産じていることが知られている。これは、単なる溶菌による核酸の漏出とは区別できる生理的現象である。本年度の研究において、そのような菌のうち海洋性光合成細菌Rhodovulum属について核酸生産の現象を解析した。いくつかのRhodovulum属細菌のうち、Rbodovulum sulfidophil DSM2351株が量的に最も多い核酸を菌体外に生産していた。その生産は、対数増殖期に起こっていることも明らかになった。さらに、これまで、菌体外核酸の報告はあるものの、どのような種類の核酸が生産されているのかということはまったく明らかになっていなかったことから、本研究では、これを明らかにすべく、解析を行った。DNAおよびRNAが生産されており、DNAについては、パルスフィールドゲル電気泳動によりおよそ30キロ塩基対(kbp)の大きさを中心にスメアなバンドが得られた。さらに、様々な遺伝子の塩基配列をブローブとするサザンハイブリダイゼイションによる菌体内ゲノムDNAとの比較から、菌体外DNAはゲノムDNAに由来するものと結論された。菌体外RNAに関しては、クローニングおよび塩基配列解析から、主に16Sおよび23SリボソームRNAの断片と多くの種類のtRNAであり、tRNAの場合、その多くが成無体のまま(分解されず成熟体未端配列も削られることなく)培地中に生産されていることが明らかになった。これらのことから、R.sulfidopbilum DSM2351株の菌体外に生産される核酸は、菌体内にもともとあった核酸が、長いものはある程度分解され、tRNAのような比較的短鎖で高次構造をもつものは、そのままの形で放出されているものであることが明らかになった。これは、細菌が菌体外に生産する核酸についての初めての詳しい解析である。
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