研究課題/領域番号 |
18380058
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 憲二 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (70109049)
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研究分担者 |
芦田 久 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40379087)
片山 高嶺 石川県立大学, 生物資源工学研究所, 講師 (70346104)
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キーワード | エンドグリコシダーゼ / 糖転移活性 / 糖鎖工学 / 生理活性物質 / グリコシレーション |
研究概要 |
本研究は微生物のエンドグリコシダーゼの糖転移活性を活用して、さまざまな生理活性複合糖質の合成を行うとともに、その技術の確立を目指した解析を行うことを目的としている。平成19年度における研究実績は次の通りである。1.糸状菌Mucor hiemalisのエンドーβ-N-アセチルグルコサミニダーゼ(Endo-M)の部位特異的変異によるグライコシンターゼ化:既に、Endo-Mの組換え酵素の触媒部位周辺のアミノ酸を変異導入することにより、高い糖転移活性を示す変異体酵素Y217Fを取得しているが、さらに本酵素が属するGHファミリー85のホモログ間で完全保存されているN175の変異体酵素N175Aを取得した。本変異体酵素はN-結合型糖鎖に対する加水分解と糖転移活性を失っていたが、反応中間体であるオキサゾリン構造を有する糖鎖を供与体として糖転移反応を触媒することを見出した。しかもその反応生成物は加水分解されずに生成し続け、N175Aはグライコシンターゼ様に機能することが示された。この結果より、N175はオキサゾリン反応中間体構造の形成に関与する重要な残基であることが示唆された。また、N175Aを用いて、抗HIV活性を有する糖ペプチドを合成したところ、極めて高い収率で目的物が得られた。2.Bifidobacterium longumのエンドーα-N-アセチルガラクトサミニダーゼの糖転移活性を用いた生理活性糖ペプチドの合成:血圧抑制作用を有する生理活性ペプチドPAMP-12はC-末端から2番目のアミノ酸残基がSer残基である。この残基にB.longumのエンドグリコシダーゼの糖転移活性によってムチン型糖鎖を付加し、生理活性糖ペプチドを酵素合成した。また、Ser残基をThr残基に変換したPAMP-12(SllT)を合成し、本酵素による糖転移活性を調べたところ、生成物量が1/4に減少した。この結果より、Thr残基はSer残基に比べて、ムチン型糖鎖を転移付加し難いことがわかった。
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